一度に全部を教えようとする

新入社員は経験を持たない社会人

社会人、という定義について、誰しも一度は考えたことがあるかと思います。社会人経験を何年も積み重ねてくると、社会人という定義について、より真剣に、より深く考えるようになります。ただ、社会人という定義に対して、誰しも共通した1つの考え方があるかと思います。それは、社会人はプロであること。お金を貰っている以上、プロとして仕事をこなす必要があります。ただ、プロとして仕事をこなそうとすると、経験が重要になります。経験したことを通して、類推しながら様々な物事を処理していき、その的確さと処理速度に応じて、多くのビジネスパートナーから徐々に信頼を得、さらにプロとして仕事を生み出していきます。しかし新入社員は、そのビジネス上の経験を全く持たないため、大半の人は仕事を進めることが出来ません。

知識を教えるのではなく、知識を経験につなげるやり方を考える

人手不足もあって、新入社員を早く戦力にすべく、研修で多くの知識を教えようとします。ビジネスマナー、話し方、製品知識、プレゼンテーション、業界の知識など。そして長い研修期間を経て新入社員達は配属され、その配属先でも事細かく様々なことを教えてもらいます。その結果、即戦力になっているかと言えばそうではなく、新入社員は教えたはずの内容について何度も聞き直すことが殆どです。そして毎年同じように、今年の新入社員はだめだ、研修で何を聞いていたんだ、という新入社員批判が繰り広げられます。悪いのは、新入社員でしょうか、それとも研修内容でしょうか。本当の問題は、経験の無さを知識で埋めようとするからです。知識は経験の上に繋がって生きます。新人研修では、どのような経験をこれから受け、そしてどのように対処すべきか、を考えさせることが大事です。仕事での考え方が分かれば、知識は自然に身につき、即戦力へと変化します。